
2012年の話です。あれ? 15年だっけ? いや、16年? ま、いいや。
僕はニガウリを育てていて、梅雨の時期のハウスには、鮮やかな緑色をした実が鈴なりで、収穫のためにとても忙しい日々を過ごしていました。

ある日のお昼前、ハウスの外の高く伸びた草を払おうとして、左手を草むらにひょいっと入れたのですが、その瞬間に指に激痛が走ったんです。
目が悪い割に生活するに不自由がないから、コンタクトもめがねもしていなかったのですが、僕の目はしっかりとその姿を捉えていました。へ。
ヘビ、でした……
ハウスの近くにヘビの巣があることは知っていたし、ヘビの話も耳にはしていたけれど、そうか、これがそのヘビか……(上の写真は草むらを刈り取った後で撮影してもらいました)
ヘビはすぐに指から離れましたが、胸のどきどきは一時おさまりませんでした。
様子を見てみようと思っていたのですが、動悸が落ち着くにつれてだんだんと、しかし確実に指は腫れてきました。
しかも、破裂するんじゃないかというほどぱんっぱんに。
徐々に痛みも出てきました。
無視できなくなってきた状況に、仕方なく近くの大きい病院に車を走らせました。
咬んできたのはマムシなのか、そうじゃないのか、そんなことを聞かれても、「視力がおぼつかない目で捉えた形は、見間違えることなくヘビだった」以外分からなかったのですが、とりあえず点滴と注射を打たれました。
処置は終わりですか??
ふう終わった終わった、もう夕方だ、さあ帰ろう。
と思っていたのですが、お医者さんに「入院してください」と声をかけられました。
いやいや、今日も明日も明後日もニガウリの収穫なんです。
とんでもないことです。
僕:「仕事が忙しいので無理です」
医師:「状態が悪くなることがあるんですよ。帰るなら、家で今日1日様子を見てくれる人はいますか?」
僕:「1人で住んでいるので、いないです」
医師:「だったら入院してください」
僕:「帰りたいです。明日も仕事があるんです」
僕は引けませんでした。
明日のニガウリのことで頭がいっぱいでした。
押し問答を何回も続け、お医者さんは折れて「分かりました。今日は帰ってもいいですが、明日必ず受診してくださいね。必ずですよ」そう言ってくれました。
僕は翌日の受診を約束し、ほっとして家に帰りました。
翌日、一生懸命にニガウリを収穫しました。
せっせせっせと体を動かし、あっという間に日は暮れました。
翌々日も頑張りました。
徐々に痛みもひいて、腫れもひいて、すべてが順調でした。
….…というわけで、僕が病院を再診したのは数日後のことです。
お医者さんに怒られたのは言うまでもありません。
長くなりましたが、ニガい思い出の1つでざいます。