平地人を戦慄せしめよ

「お昼頃、雹(ひょう)が降りました」

ー びっくりしましたねえ

「被害はありませんでした。良かった良かった。10年くらい前に降った雹はすごかったです。

ピンポン玉くらいの氷の塊が、空から突き刺さるように落ちてきました。タンコブできました」

ー 作物にも直撃ですか!

「植えたばかりのナスが、棒 です。主軸だけ残して、すべての葉っぱが落ちました。ところが、川を隔てた数百メートル先は降らないのです。地元の人間は「雹(ひょう)の道」があると言います」

ー 雲の影響だけでなく?

「ちょうど蛇のように細長く蛇行して道があると。こういう、地元の生の声は面白いですよね。民間伝承。柳田國男の『遠野物語』なんかも、民間伝承としてだけでなく、何らかの普遍性を含んでいて、本当に面白い。生生しい地域の息づかいが分かるような気がします」

ー かっぱがでるとか

「これはKJ法にも通じるものがあるなぁと思います。コンラッドさんの沖縄の話などを聞いていると、私はいつも遠野物語を思い浮かべていました。今は世代間の交流がブツブツ切れて、人間が豊かに生きるための知恵や工夫、なによりも、安心できない。地域のお年寄りと話していると、どこかそれだけで安心しますものね」

ー そうですねえ。農場舞台の林さんのお話なんか紙芝居を見せられているよう

「柳田國男『遠野物語』序文。『国内の山村にして遠野よりさらに物深き所には、また無数の山神山人の伝説あるべし。願はくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ』

雨、上がったかな!? 午後からサクランボの芽摘み、今日で終わらせます」

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